園だより巻頭言2026年4月号

 桜が満開を迎えています。琵琶湖疏水を歩いていると、河岸には真っ白なユキヤナギ、上を見上げると薄ピンクの桜が咲き誇っています。1年に1度、ほんのわずかな期間しか見ることができない景色ですが、今しか見られないからこそ愛おしく、またその儚さを惜しみながら満開の桜を楽しむのです。

 とてもベタな物言いではありますが、子育ても今しかない瞬間の連続です。初めての子育てという方もおられますし、2人目3人目の育児中というベテランパパママもおられます。わからないことや不安なことだらけで、無我夢中のうちに時間が過ぎていっているかもしれませんし、ベテランさんはベテランさんで、複数の子どもを抱えててんてこ舞いになっているうちに時間が過ぎていっているかもしれません。結局、仕事や家事に子育てと、大人はいろいろなものに追われて時間があっという間に過ぎて行きますが、その中に子どもたちとの関わりの時間も含まれていますから、気がついたらもう卒園!もっと関わればよかった!みたいなことになるわけです。

 子どもの時間の進み方と、大人の時間の進み方は違うと言われます。子どもたちにとっては毎日が新しい刺激に満ちていて、心揺さぶられる経験をたくさんするので、刺激に満ちた子どもたちの1日は、私たち大人の数日分にも相当すると考えられるのです。

 ということはです、子どもの頃の経験や体験はとても大事だということです。「三つ子の魂、百まで」ということわざがありますが、これは躾けを含め、幼い頃に形成された人格は、100歳になるまで変わらない、あるいは有効ですよという意味です。つまり幼い頃の時間の経過は人格形成に強い影響力を持っているということですから、当然良い経験をさせてあげたいと思うわけです。

 では、良い経験とは何でしょう。公園で遊ぶ機会を増やしましょうか?絵本を読み聞かせましょうか?ピアノや英語の習い事をさせてみましょうか?キャンプや旅行に行きましょうか?それらは確かに子どもたちにとっては刺激的なものです。

 でも、乳幼児期で一番大切なのは、「愛着形成」なんです。アタッチメントとも呼ばれますが、乳児が保護者やその他の養育してくれる大人たちとの信頼関係を築くことこそが、すべてのものに優先するのです。泣いた時に抱っこしてもらえるとか、いけないことをした時に叱られるけど、その後に赦されて受け入れられるとか、そういう日常生活の中で繰り返されるごくごく当たり前のスキンシップや心通わせる事柄が、子どもたちの人格形成の基礎になるのです。これを怠ると、かなりややこしくなります。だって、成長してからこれをやり直すとなると、子どもの頃の何倍も時間が掛かるのですから。

 今しかない時間を楽しみたいと思います。そして、一緒に成長したいと思います。園長:新井純